新築やリフォームをする際、タイルや塗り材、クロスやデザインパネル、クッションフロアなどインテリアの仕上げ材を選ぶのはとっても楽しくもあり、種類がたくさんあり過ぎるゆえに悩む場面だと思います。
なぜならその仕上げ材達はそれぞれ違った特徴やデザインがあるからです。
最近はデザイン重視で選ぶことも増えましたが、仕上げ材が持つ特徴やメリットを生かすと空間はさらに良いものに。
今回はタイルの専門家の視点から、デザイン以外の観点で「本物のタイル」を貼るのにおすすめのインテリア空間2選をご紹介いたします。
タイルをどのように使うかで迷ったとき、ぜひ参考にしてみてくださいね。
1.タイルを貼る場所でイチオシはやっぱり「洗面壁」!
タイルと言ったら「水廻り」を想像する方も多いのではないでしょうか?
まさにタイルは水廻りに適した仕上げ材と言えます。なぜならそのものずばり「水」に強いから。タイルの代表格である磁器質タイルの吸水率はとても低く、その耐水性はガラスの次に水を吸わない素材とも言われています。
それはつまり水と同時に飛び散る汚れが染み込むこともほぼないということ。洗面空間は手を洗ったり歯磨きしたりなど、主に水を使って汚れを落とす場所だと考えると、表面を拭くだけで汚れが取れやすいというのは清掃するのに大きなメリットですよね。
また磁器質タイルは耐摩耗性にも優れているので、家庭用スポンジで何回こすっても色が落ちたり表面が削り取られることはありません。タイルはお手入れが簡単で綺麗が長持ちする仕上げ材だからこそ、清潔感が求められる洗面壁にはぴったりなのです。
ただし、タイルとタイルの隙間を埋める目地材の汚れが気になってしまう場合も。
目地材はタイルと違いセメント系の素材で作られていることが多いため、タイルほど吸水率や耐摩耗性が高いわけではありません。
そんな時、目地材は「防カビ・防汚」などの機能付のものを選ぶと、よりキレイが長持ちしやすくなります。また白目地だと黒い汚れが目立ちやすいので、濃いめのグレー目地やその他のカラー目地を使うなど状況に応じて目地材を選ぶのもおすすめです。
また清掃の時も酸性洗剤は目地材の表面を傷め逆に汚れが付きやすくなるので使うのは避け、タイルや目地材が汚れた場合は中性洗剤でお手入れすることが大切です。なお一部金属・石材系タイルでは中性洗剤以外で清掃すると色や形が変わってしまうものがあるため注意が必要です。
それ以外で洗面壁にタイルがおすすめの理由は「コンパクトな場所だからこそポイント貼りがしやすい」ということです。
洗面壁は場所が比較的コンパクトだからこそ価格が高めのタイルを選びやすいと言えます。水掛かりの多い洗面カウンター上部から30センチ程度をポイントで貼れば、更にコスパよくオシャレな洗面空間ができ上ります。
特に玄関すぐに設置されたホールの洗面など、家族以外の人に見られやすい空間において、ちょっと貼っただけでもぐっと空間がグレードアップするのがタイルの良さ。
予算がないけれど…という方も一度洗面壁のポイント貼りでタイルの見積もりを取ってみてはいかがでしょうか?
2.「テレビ背面壁」に貼るとメリットがたくさん!空間の主役にもなります
水廻りでなくてもタイルを使う場所はたくさんあります。その中でもおすすめなのが「テレビ背面壁」です。
実はタイルは土や石で作られた無機質の素材であり静電気を帯びない性質のため、ほこりなどのごみを集めづらい特徴があります。そんなタイルをテレビなど電化製品の周りに貼るとほとんど清掃の手間がかかりません。
同じ理由で冷蔵庫やレンジ周りなど、電化製品が多いキッチン空間にもタイルはおすすめだったりします。
またテレビ背面壁はリビング空間につくられることが多いですが、そのリビング空間は、家の中でも起きている「夜の時間帯」に最も長く滞在する場所。
つまり「夜の時間帯」=「照明に照らされた空間」でどのように見えるのかも仕上げ材選びの重要なポイントなのです。
タイルは他の仕上げ材と比べ厚みがあるので、凹凸(おうとつ)表現が得意な仕上げ材です。照明を当てると厚みの差によってわざと陰影が生まれるよう計算して作られたタイルもあるほどです。
ではなぜあえてリビング空間に陰影を作ることが重要なのでしょう?それは陰影がもたらす人への影響が大きいからと言われています。
白く明るく照らされた空間では人は緊張を感じ落ち着かない気分となります。それは白という色が活動時間帯に見る太陽光の色であり、新品の雰囲気で清潔感がありともすると冷たく無機質に感じられるから。学校や病院、オフィスなどで白色かつ機能的なフラットさが基調の空間づくりが多いのもこの理由からだと思われます。
反対にリビング空間はプライベート空間でもあるため、ひとが安まる雰囲気づくりが重要です。そこではっきりと光に照らされたフラットで明るい空間よりも、あえて壁面に少し影を創り出すことで気持ちが落ち着く視覚的効果を狙う。
つまりリビング空間でも一番目に入りやすいテレビ背面壁に凹凸(おうとつ)のあるタイルを使う事で、強い太陽光の中で洞窟や木陰に入ったような時のような、ゆったりとくつろぐ感覚を得られるのです。
また凹凸(おうとつ)のないタイルでも、焼き物特有の絶妙な色むらや柄幅はダイナミックで高級感のある存在として十分に映えます。
まるで絵画を鑑賞するような気分でリビングの壁を見れるのも、タイルの持つ魅力と言えるのではないでしょうか??
それでも仕上げ材を選ぶのに迷ったら…現物の素材感を確認プラス専門のプロに聞いてみよう!
インテリア空間の中で一番目に見えて触れあう機会の多い仕上げ材だからこそ、デザインにプラスしてそれぞれの素材の特徴を生かした空間づくりができれば嬉しいですよね。
けれど、やっぱり選ぶのが難しいと感じたら、できるだけ専門知識があるショールームやその道のメーカー、プロに聞いてみるのが良いでしょう。具体的なアドバイスやバラエティ豊かな商品展開など様々な情報が聞けるはずです。
また、実際にその素材のサイズ感が分かるような展示場やショールームに行くのも大切です。商品を選び施工した後に写真やサンプル、イメージと違った!なんてことは少なくありません。
少々手間はかかりますが、長い時間一緒に暮らすことになる大切な仕上げ材です。快適な空間づくりのためキッチンや洗面などの住宅設備だけでなく、”仕上げ材のショールームツアー”を行うことを大いにお勧めいたします。